フッターマン H-3 OTLアンプ
調整② L側:概ね順調です
R側の状態を再確認してから、L側の調整をはじめました。L/Rが働くとプレート電圧が若干下がり気味になります。電源はL/R共用なので、L側の調整が終わってから、R側も再確認しました。
よく見ると使う古しのタマのようでした。「6SF5」は初めて使うタマなのでえらい黒いタマだなぁと思っていたのですがなんのことはない使い古しの中古球でした。L/Rとも新品と思われるタマに交換しました。
そんなこともありましたが、時間をかけてゆっくり調整。これでL/Rともほぼ同じようなところまできました。
↓:テスターを動員し電流計接続し、電圧・電流を監視しながら調整
↓:こんな感じです。
↓:テスター5個と電流計 電流が180mAとやや少ない感じ
現在のところまで概略性能
・最大出力:15W/8Ω(クリップ開始時)
・出力1W時ひずみ率:0.025%
高負帰還アンプなので、クリップ直前までは低ひずみ率で1%以内クリップ後は急速に多くなります。
最大出力は20W程度と見当をつけていたのですが、予測より少なめ、「6HJ5」のSg電圧を最大定格の220V以内にしているからかもしれません。オリジナルでは、EpもEsgも高めの設定となっていますが、タマを酷使するのもどうかと思うので最大定格以内にしています。プレート電流はアイドリング時180mA(2本分)、最大出力時には600mAを超えます。
タマのバラツキを考えてアイドリング時プレート損失は約16W弱、最大プレート損失24Wの65%弱で使用しています。
タマを選別して200mA(1本当たり100mA)にしたいところですが。
これで電気の投入と概略の調整が終わりましたので、あとは時間をかけて詳細な調整をします。続きの作業はまた次週末です。
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フッターマン H-3 OTLアンプ
調整① R側:概ね順調です
午後から通電テストしました。OTLアンプ成功の秘訣は、ゆっくりのんびり、慎重に時間をかけてやることです。
と言うわけで午前中に配線チェック、午後から電気を投入チェックをはじめ、夕方5時ころにはR側が終わりました。結果、概ね順調・良好です。
↓写真:R側調整中の様子
このH-3は回路が複雑なので、部分的に順序良く通電します。主要な電圧はテスターを繋いで同時に4箇所程度を監視しながらやります。もちろん配線間違等がないかどうかも確認しておきます。<真空管のヒータ点火は配線中に確認済み>
参考までに。
通電のやり方は大体以下の順序でやります。このようにならない場合は配線間違いなどを点検します。<この内容は後で追加訂正することがあります>
先ず、いきなりAC100V投入するのは危険です。一次側はスライダックで調整しながらします。負荷抵抗は16Ω以上を繋ぎます。(8Ωにするのは最終段階です)
最初は、スライダックをAC10V程度にして、トランスの各AC出力電圧が規定の1/10電圧であるかを確認します
次は、出力管バイアス電源にAC40Vを繋いでやはり1/10電圧(約5V)を確認します。同時に、下側出力管のバイアス電圧を確認して、マイナス電圧が深くなるようにVRを回し切ります。
三番目は、主電源AC255Vをダイオードに繋いで、DC出力電圧が1/10電圧(35V程度)になるか確認、次は補助電源AC150Vをダイオードに繋いでDC出力電圧が1/10電圧(20V程度)になるか確認。この二つを積み上げた電圧⑨(55V程度)を確認。
四番目は、これらの確認のため、一次側をAC80Vまで徐々に上げながら、上記3種類の電源電圧を確認します。この時臭いなど、シャーシ内部の異常がないか確認しながらやります。
無負荷なのでAC80V~90V程度で規定電圧になることを確認します。出きればこのままでケミコンのエージングを1時間程度します。この間、シャーシ内部に異常がないか監視します。
次に、真空管を差して出力段のDCバランスをチェックします
最初に出力管下側のSg定電圧電源をチェックします。
「6EM7」と「OA2」を挿入し、出力電圧②をチェックしながら、スライダックでライン電圧を徐々に上げてAC90V程度にし、②電圧245V近辺あるか確認し、電圧調整用可変抵抗を回して規定電圧に合わせます。
二番目に出力管「6HJ5」を上下各1本挿入、上側Sg定電圧電源「6DR7」と「5651」を挿入します。
出力管電流監視電流計(1Aレンジ)を接続します。
各電圧を監視しながらAC100Vをスライダックを徐々に上げ90Vにして、監視点電圧が約④175V、③420V ⑤350V、⑨550V近辺にあるか確認。
この時電流計は100mA近辺を確認、⑤の電圧の約1/2電圧が④の電圧になっているか確認。
上側、下側のバイアス調整用VRを交互に回して、電流計100mA、⑤の電圧の約1/2電圧が④の電圧になるように大体合わせる。
これが終わると、残りの2本出力管6HJ5を挿入し、⑤と④を同じように監視、電流計は約200mA。
これが終わると増幅段の通電をする、入力VRは絞っておく
「6EJ7」と「6SF5」を挿入し、ライン電圧を90Vまで上げる。手早く「6EJ7」と「6SF5」回りの電圧をチェックする、概ね電圧があっていればOK
入力信号入れて、出力負荷抵抗の両端に出力されるかを確認。この時過大信号を入れない様に留意。入力VRを徐々に上げて出力電圧(波形)を監視する、出力は1W(出力電圧4V/16Ω)程度で止める。留意:最大出力まで上げないこと。
これでR側の概略通電動作チェックを終了する。
OTLアンプは「ゆっくり・のんびり・慎重に」行います。これが成功の秘訣です。
通電テスト、出力段のDCバランスチェックはテスタだけでも出来ますが、この先は測定機が必要です。
↓写真:電流計1台、4個のテスターを動員して通電チェック
ライン電圧を90V。電圧は予定より低め。出力管の電流は約200mA
回路図(案)はこちら(既出ブログ)です。上記③④⑤などの番号が記載していあります。
今日はここまでにしますが、次週末はL側も同様に通電チェックします。
ではではでは・・・
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フッターマン H-3 OTL アンプ
Rコアトランスの取り付け方法
ご質問がありましたので続けて掲載します。
取り付け情況の写真をごらんください。
大きい方が上、小さい方が下(シャーシ内部)にとりつけています。
取り付け方法ですが、上下はRコアの方向をクロスするように取り付けてありますが、これが良い方向なのかはよくわかりません。また、シャーシの深さが70mmですので、収まる丁度よい高さです。深さ60mmの場合は、シャーシ底にゴム足などを取り付けて高さ補います。
小さい方のトランスの取り付け孔は上面から4mm皿孔をあけて、皿ビスを使用して頭が出ないようにして取り付けています。
このため、取り付け順は、先に小さい方のトランスを取り付け、次に上の大きなトランスをとりつけます。
↓: トランス取り付け孔
スペーサで取り付けビス頭分だけシャーシから浮かせてとりつけても良いと思います。
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フッターマン H-3 OTL アンプ
大型電解コンデンサー/400V3300uF:4個
お問い合わせがありましたので、ストック中の電解コンデンサーを写真撮影して掲載します。規格等は写真をご覧ください。製造時期によって型式などが変更されているかもしれません。
↓写真:ストック品です
この電解は、400V3300uF、ヤフオクで時折出品されているものゲットしたものです。
電源に使用されている電解コンデンサーはオリジナルH-3では400uF、是枝氏の贋作H-3では220uF×2,出力用コンデンサーはオリジナルH-3では800uF、是枝氏の贋作では2000uFと指定されています。
当方は手持ちの関係で同じ3300uFを電源用に2個、出力用に2個、計4個使用しています。
一般にOTLアンプには大容量コンデンサーが多数必要になります。新品を使いたいのですが、工業用高耐圧大容量電解コンデンサーは大変高価なので、新古品(新品未使用品)と思われるもの、或いは程度の良い中古品をゲットしています。但しケミコンは、ご存じのように経年劣化がありますのであまり古い物は使用を避けるか、事前にエージングをして良否を判断して使用します。
大容量あるいは巨大容量電解コンデンサーの使用上注意事項は、特に調整中は何度も電源をON・OFFしますので、チャージがが残っていることがあり、うっかり短絡すると大事故になりかねません、適度なジスチャージ用抵抗をつけて、十分時間をかけて放電させるなど安全を期します。あるいは電源スイッチと連動してジスチャージ用抵抗で放電させるなど対策をします。
当方には、折に触れて集めた200V12000uF、350V11000uF、400V10000uF、450V8800uFなどの巨大電解コンデンサーの手持ちがいくつかあります。(写真省略)
これらは、いずれ使用する予定ですが、最近は、必要な物を、必要なときに、必要な数量を買う、というのが常識となっていますので、電解コンデンサは特にその必要性がある部品です。ストックは結局無駄にしてしまいかねません。
最近、スイッチング電源用として基板用小型高圧大容量電解コンデンサ、例えば250V1800uF(ニチコン)があります。OTLには利用価値があると思いますが、受注生産品のようですので代理店にお問い合わせください。
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